- 健康診断で「便潜血陽性」と
結果が出たら? - 便潜血検査の判定
- 便潜血検査の精度
- 便潜血陽性の場合に
考えられる原因・疾患 - 便潜血陽性で大腸カメラ検査を
受けるべき理由 - 便潜血検査には限界がある
- 便潜血陽性に関するQ&A
健康診断で
「便潜血陽性」
と結果が出たら?
便潜血検査で陽性が出た場合、大腸内で出血が起こっている可能性があります。ただし、必ずしも大腸がんや重大な病気があるとは限らず、痔や炎症などが原因となることもあります。
まずは、医師の指示に従い、大腸カメラ検査を受けることが重要です。大腸ポリープや大腸がんの早期発見にも繋がるため、放置せずに精密検査を受けましょう。
便潜血検査の判定
この検査では、便の中に血液が含まれているかを陽性(+)か陰性(-)で判定します。
潜血(−) | 陰性(血液が検出されなかった) |
---|---|
潜血(+) | 微量の血液が検出された(陽性) |
潜血(++) | 明らかに血液が検出された(陽性) |
潜血(+++) | 大量の血液が検出された(強陽性) |
便潜血検査の精度

便潜血検査は大腸がんのスクリーニング検査として広く用いられていますが、完全に正確な検査ではありません。
感度(がんを見つける確率)は約60~80%で、早期がんでは見逃されることもあります。
特異度(がん以外で陽性にならない確率)は約90%以上ですが、痔や炎症でも陽性になることがあります。
1回の検査では約50%の大腸がんを検出し、2回法(2日分の便を検査)では約70~80%の精度になるとされています。
したがって、便潜血陰性でも100%安心とは言えず、陽性の場合は大腸カメラ検査を受けることが推奨されます。
便潜血陽性の場合に
考えられる原因・疾患
便潜血検査が陽性の場合、大腸や消化管のどこかで出血が起こっている可能性があります。主に以下の疾患が考えられます。
大腸の疾患
大腸がん
特に進行がんでは出血を伴うことが多い
大腸ポリープ
出血を伴う場合があり、放置するとがん化する可能性もある
潰瘍性大腸炎・クローン病
慢性的な炎症で粘膜が傷つき、出血を伴う
肛門周囲の疾患
痔(いぼ痔・切れ痔)
便秘や硬い便が原因で出血することがある
肛門裂傷
肛門付近の傷が便と接触して出血
便潜血陽性で
大腸カメラ検査を
受けるべき理由

便潜血検査が陽性となった場合、大腸内で出血が起こっている可能性があるため、精密検査として大腸カメラ検査(下部内視鏡検査)を受けることが重要です。
大腸がんの早期発見に
繋がる
便潜血検査は、大腸がんのスクリーニング(ふるい分け)として有効ですが、がんの確定診断には大腸カメラ検査が必要です。
早期の大腸がんは出血が少なく、便潜血検査では見逃されることもあるため、陽性が出たら大腸カメラ検査を受けることで、確実に病変を確認できます。
大腸ポリープを発見し、
その場で切除できる
大腸がんの多くはポリープ(腺腫)から発生するため、大腸カメラ検査でポリープを発見し、早期に切除することでがんの予防が可能です。
便潜血検査ではポリープの有無はわからないため、内視鏡で直接確認することが重要です。
他の疾患の診断にも役立つ
便潜血陽性は、大腸がん以外の病気(大腸ポリープ、炎症性腸疾患、虚血性腸炎、痔など)でも起こることがあります。
大腸カメラ検査を行うことで、これらの病気が原因であるかどうかを判断し、適切な治療につなげることができます。
便潜血検査には
限界がある
便潜血検査の感度は約60~80%とされており、陰性でも大腸がんが存在する可能性がある一方で、陽性の場合も痔などの良性疾患が原因のこともあります。大腸カメラ検査を受けることで、確実に診断を行い、必要に応じて治療を進めることができます。
大腸がんは早期発見ができれば90%以上の確率で完治できるため、精密検査を受けることで安心に繋がります。陽性を放置せず、できるだけ早めに大腸カメラ検査を受けるようにしましょう。
便潜血陽性に関するQ&A
便潜血陽性でも、大腸カメラ検査を受けずに様子を見ても大丈夫ですか?
便潜血陽性の原因は痔や軽い炎症であることもありますが、大腸がんやポリープが原因の可能性も否定できません。症状がなくても、大腸カメラ検査を受けることで病変の有無を確認でき、早期発見・早期治療に繋がるため、放置せずに医師の指示に従いましょう。
便潜血検査が陽性でも、体調が良ければ問題ないですか?
便潜血は目に見えない微量な出血を検出するため、体調に関係なく病気が潜んでいる可能性があります。自覚症状がなくても大腸ポリープやがんが進行しているケースもあるため、定期的な検診と精密検査が重要です。
便潜血陽性でも、検査をしたら異常なしだった場合、安心していいですか?
一度の大腸カメラ検査で異常が見つからなくても、将来的にポリープが発生したり、大腸がんを発症するリスクはゼロではありません。年に一度の便潜血検査や、医師の指示に従って定期的な大腸カメラ検査を継続することが重要です。
便潜血陽性にならなければ、大腸がんの心配はないですか?
便潜血検査はスクリーニング検査のため、出血が少ない初期の大腸がんは検出できないこともあります。便潜血検査が陰性でも、50歳以上の方や家族に大腸がんの既往歴がある場合は、定期的な大腸カメラ検査を受けることが推奨されます。
便潜血陽性の原因が痔の場合でも、大腸カメラ検査を受ける必要がありますか?
痔による出血が便潜血陽性の原因であることは多いですが、痔と大腸がんが同時に存在することもあります。自己判断せず、医師の指示に従い、必要な検査を受けることが大切です。
便潜血陽性は1回だけではなく、複数回出たほうが危険ですか?
一度の陽性よりも、複数回陽性が続く場合はリスクが高いと考えられます。出血が持続している可能性があるため、速やかに大腸カメラ検査を受けましょう。
便潜血陽性を防ぐために、普段の生活でできることはありますか?
食生活の改善(食物繊維の摂取、脂肪分を控える)、適度な運動、禁煙・節酒、定期的な健康診断が大腸の健康維持に役立ちます。特に大腸がんのリスクが高い人は、早めに検査を受けることが重要です。
便潜血陽性が出たら、どれくらいの期間内に大腸カメラ検査を受けるべきですか?
可能な限り1~2ヶ月以内に大腸カメラ検査を受けることが推奨されます。長期間放置すると、万が一の病気の進行を見逃す可能性があるため、早めの受診を心がけましょう。
便潜血検査で数値500は癌ですか?
便潜血検査で「500」という数値が示される場合、これは便中のヘモグロビン濃度を示す定量検査の結果です。定量検査では、便1gあたりのヘモグロビン濃度(ng/mL または μg/g)が測定されます。
便潜血検査の一般的な基準値
陰性(正常範囲):50 ng/mL 未満
陽性(異常値):50 ng/mL 以上
500 ng/mL(μg/g)は基準値(50 ng/mL)を大きく超えており、消化管のどこかで出血が起こっている可能性が高いことを意味します。ただし、痔や炎症性疾患が原因であることもあります。数値が高い場合は、大腸カメラ検査を受け、原因を特定することが重要です。
便検査で潜血++と出たらどうなりますか?
「潜血++」という表記は、主に定性検査(簡易検査)で用いられます。
「潜血++」は、便の中に基準値を超える血液が検出されたことを示し、精密検査(大腸カメラ検査など)が推奨される状態です。原因は痔のような軽度なものから、大腸がんやポリープなどの病気まで幅広いため、放置せずに医師の指示に従い適切な検査を受けることが重要です。