胃がん・食道がん Gastric-cancer

胃がんとは

胃がんは、胃の内側を覆う粘膜の細胞ががん化して発生する病気です。
初期の段階では自覚症状がほとんどないため、早期発見が重要です。進行すると、胃痛、食欲不振、体重減少、吐血や黒色便などの症状が現れることがあります。
主な原因としては、ピロリ菌感染、食生活（塩分の多い食品や燻製食品の摂取）、喫煙、飲酒、遺伝的要因などが挙げられます。
胃がんの診断には内視鏡検査（胃カメラ検査）が有効で、早期発見できれば内視鏡治療で治療が可能な場合もあります。進行がんでは手術、抗がん剤治療、放射線治療などが行われます。

食道がんとは

食道がんは、食道の粘膜細胞が異常増殖して発生するがんで、日本では特に扁平上皮がんが多く見られます。発症のリスク要因として、過度の飲酒（特にアルコールを分解しにくい体質の人）や喫煙が大きく関係しています。
その他、熱い飲み物の摂取、慢性的な食道炎、肥満、逆流性食道炎（バレット食道）などもリスクを高めます。
食道がんの主な症状は、食べ物がつかえる感じ（嚥下困難）、胸の痛みや違和感、声のかすれ、体重減少などです。しかし、初期の段階では無症状のことが多いため、定期的な内視鏡検査が推奨されます。

胃がんの原因

食生活の影響

野菜・果物の不足

抗酸化作用のあるビタミンCやポリフェノールが不足すると、発がんリスクが上昇。

喫煙・飲酒

喫煙は胃の粘膜を傷つけ、胃がんのリスクを約1.5倍に上げる。
アルコールの過剰摂取も胃の炎症を引き起こし、がんの発症に繋がる可能性がある。

遺伝的要因

家族に胃がんの患者がいる場合、遺伝的にリスクが高い可能性がある。
特定の遺伝子変異が関係していることが指摘されている。

胃の疾患
（萎縮性胃炎、胃潰瘍、胃ポリープ）

慢性萎縮性胃炎（特にピロリ菌感染が原因）が進行すると胃がんの発生リスクが高まる。
腺腫性ポリープがある場合、がん化の可能性がある。

食道がんの原因

喫煙（タバコ）

食道がんの最大のリスク要因。 タバコに含まれる発がん物質が食道の細胞を傷つけ、がん化を促進する。
喫煙者は非喫煙者に比べて食道がんのリスクが数倍に上昇。

飲酒
（特にアルコール耐性が低い人）

アルコールを分解する酵素（ALDH2）の働きが弱い人（日本人に多い）は、飲酒による食道がんリスクが大幅に上昇。
特に強いお酒（焼酎、日本酒、ウイスキーなど）は食道の粘膜を傷つける。

熱い飲み物や食べ物

高温の飲食物（熱いお茶、コーヒー、スープなど）が食道の粘膜を繰り返し傷つけることで、発がんリスクが上昇。

逆流性食道炎

胃酸が食道へ逆流することで粘膜が慢性的に炎症を起こし、がん化する可能性がある。
「バレット食道」と呼ばれる状態になると、食道がんのリスクが高まる。

肥満

肥満は胃酸の逆流を引き起こし、逆流性食道炎を悪化させることで、食道がんの発生率を高める。

遺伝的要因

食道がんの家族歴がある人は発症リスクがやや高まる。
ただし、胃がんに比べて遺伝的要因の関与は少ない。

胃がんの治療方法

胃がんの治療はがんの進行度に応じて選択されます。早期胃がんでは、内視鏡手術でがんを切除し、体への負担を抑えます。
進行している場合は、胃切除手術（部分切除・全摘）が行われ、リンパ節の切除も併せて実施されます。進行胃がんでは、手術前後に化学療法（抗がん剤）を併用し、治療効果を高めることが一般的です。
さらに、がんが広範囲に転移している場合は化学療法や免疫療法（オプジーボ）が主な治療となります。また、手術が困難な場合は放射線治療や緩和ケアが選択されることもあります。治療の選択肢はがんの進行度や患者の体力に応じて決定されます。

オプジーボとは？

がん免疫療法に用いられる薬で、従来の抗がん剤とは異なり、患者自身の免疫力を利用してがん細胞を攻撃する仕組みを持っています。

食道がんの治療方法

食道がんの治療はがんの深達度や転移の有無によって異なります。早期食道がんでは、内視鏡手術が適用され、食道を温存しながら治療できます。進行がんでは、食道切除術が基本で、胃や腸を用いた再建術（胃管再建）が行われます。
手術が困難な場合は、化学放射線療法（抗がん剤＋放射線）が選択され、最近では免疫療法（オプジーボ）も進行がんの治療選択肢として加わっています。放射線治療は手術ができない場合や、腫瘍の縮小目的で行われることもあります。食道閉塞が生じた場合は、食道の狭くなった部分を広げる処置を行い、食事がしやすくなるようにする緩和ケアを行うこともあります。
当クリニックでは胃・食道がんの手術や化学療法は行っておりませんが、適切な専門医療機関をご紹介いたします。また、治療後の経過観察の内視鏡検査は当院で引き続き行うことが可能です。治療の選択肢や今後の方針について不安がある方は、ご相談ください。

生活習慣の改善

禁煙・節酒（最も重要）

• 喫煙は、胃がん・食道がんのリスクを大幅に上昇させるため、禁煙が推奨される。
• 過度な飲酒は、胃粘膜や食道粘膜にダメージを与え、発がんリスクを高めるため、適量を守る。
• 特に、アルコール分解酵素が弱い人（顔が赤くなりやすい人）は食道がんのリスクが高まるため、飲酒を控えることが推奨される。

食生活の改善

• 塩分の過剰摂取を控える（漬物・味噌汁・加工食品を減らす）。
• 野菜や果物を多く摂る（ビタミンCが胃や食道の粘膜を保護し、発がんリスクを低減）。
• 加工肉・燻製食品を控える（発がん性物質を含むため）。
• 熱すぎる飲み物や食べ物を控える（食道の粘膜を傷つけ、食道がんのリスクを高める）。

特定のリスク要因への対策

ピロリ菌の除菌（胃がん予防）

• ピロリ菌感染は胃がんの最大のリスク要因のため、検査を受け、陽性なら除菌治療を行う。

胃酸の逆流を防ぐ
（食道がん予防）

• 逆流性食道炎が長期間続くと、食道の粘膜が慢性的に傷つき、食道がんのリスクが高まる。
• 暴飲暴食を避け、食後すぐに横にならない。
• 脂っこい食事やカフェインの摂取を控えることで胃酸の逆流を防ぐ。