アニサキスとは
アニサキスは、魚介類に寄生する線虫(寄生虫)の一種で、人が感染すると激しい腹痛や嘔吐を引き起こすことがあります。
特に、サバ・アジ・イカ・サンマ・サケ・カツオなどの生魚に多く寄生し、これらの魚を生で食べることで感染するリスクがあります。食後数時間後から十数時間後に、みぞおちの激しい痛み、悪心、嘔吐を生じます。
アニサキスの特徴
- 体長2~3cm、白色~半透明の糸のような形状
- 魚の内臓(特に胃や腸)に寄生し、鮮度が落ちると筋肉(身)に移動
- 人間の体内では成長できず、数日で死滅するが、胃や腸の粘膜に侵入し激しい痛みを引き起こす
アニサキスによる食中毒
(アニサキス症)の症状
胃アニサキス症(最も多い)
- 食後数時間~十数時間以内に発症
- みぞおち(上腹部)の激しい痛み、吐き気、嘔吐
- 胃の粘膜にアニサキスが入り込み、炎症を引き起こす
- 内視鏡で除去すれば、すぐに症状が改善
腸アニサキス症(まれ)
- 食後十数時間~数日後に発症
- 下腹部の強い痛み、腸閉塞のような症状(腹部膨満感、便秘、激しい腹痛)
- 症状が重くなると、腸が詰まり手術が必要になることも
アニサキスアレルギー
(じんましんやアナフィラキシー)
- アニサキスを食べた直後~数時間以内に発症
- じんましん、かゆみ、顔や喉の腫れ
- 重症の場合、呼吸困難やショック症状(アナフィラキシー)を引き起こす
強い腹痛が続く場合は、すぐに医療機関を受診し、アニサキス症の可能性を伝えましょう!
アニサキス症の
検査と治療
問診の上、胃アニサキス症が疑われる場合、胃カメラ検査を用いて直接観察します。診断と治療には胃カメラ検査が最も有効です。胃の壁に潜り込んでいる幼虫(アニサキス)を確認した場合、その場で摘出します。胃カメラ用の鉗子(かんし)を使い、直接アニサキスを摘まみ、安全に除去します。
幼虫を取り除くと即座に症状が軽減する場合もあります。
また、アニサキス症は薬の服用での治療は推奨されず、内視鏡による除去が最も確実な治療法です。 症状が出たら、自己判断せずに医療機関を受診しましょう
腸アニサキス症の場合、内視鏡が届かないためCT検査や超音波検査を用いて検査を行います。
腸アニサキス症では内視鏡による摘出が困難なため、鎮痛剤の投与や点滴などの対症療法を行い、1週間程度で自然死滅するのを待つことが一般的です。
ただし、腸閉塞や腸穿孔を引き起こした場合は手術が必要になることもあります。
アニサキスアレルギーの治療
アニサキスによるアレルギー反応でじんましんや呼吸が苦しくなる症状が出た場合は、アレルギーを抑える薬や炎症を抑える薬を使って治療します。
また、アナフィラキシー(重いアレルギー反応)が起こった場合は、速やかにアレルギー反応を抑える注射(エピペンなど)が必要になります。
アニサキスアレルギーは、内視鏡でアニサキスを取り除いても症状が続くことがあるため、アレルギーの治療が必要になることがあります。
アニサキス症の予防
アニサキス症を防ぐための
基本対策
加熱調理(最も確実な方法)
60℃以上で1分以上加熱することでアニサキスは死滅。
70℃以上なら即死するため、焼く・煮る・揚げる調理が安全。
冷凍処理(-20℃以下で24時間以上)
家庭用の冷凍庫(-18℃程度)では効果が不十分なことがあるため、業務用冷凍(-20℃以下)で24時間以上冷凍することが推奨される。
急速冷凍された冷凍魚(刺身用)は安全。
生魚を食べるときの注意点
目視での確認
アニサキスは透明または白色で2~3cmほどの細長い糸状の幼虫。
魚の筋肉(特に腹側)や内臓に寄生するため、調理前に確認する。
刺身を食べる前に目視で確認する。
魚の内臓はできるだけ早く処理
アニサキスは本来、魚の内臓に寄生しているが、魚が死亡すると筋肉へ移動する。
新鮮なうちに内臓を取り除き、魚体を冷蔵または冷凍することでリスクを低減。
内臓の生食はしない。
魚の種類に注意
特にアニサキス寄生のリスクが高い魚介類
サバ、アジ、イワシ、サンマ、サケ、カツオ、スルメイカ
これらを生で食べる場合は、冷凍処理されたものを選ぶ。
調味料(酢・ワサビ・醤油)
では死なない
アニサキスは酸や塩分に強く、酢・ワサビ・醤油では死滅しない。
例:酢締めしたシメサバでも生きている可能性がある。